まずは山忠棉業さんについて教えてください
山忠棉業は、大阪で100年以上の続いている棉花の商社です。
5年前に、新規事業としてプリント生地の輸出入・国内卸を扱うテキスタイル部を、現部長が一人で立ち上げました。
弊社の扱うプリント生地の産業も他に漏れず、日本独自の優れた技術と伝統がありながら、絶滅を危惧されている産業のひとつです。そこを何とか盛り返していこうと、今現在、7名のスタッフ総意で頑張っています。
今回ご依頼はどのようなものでしたか
COTTON+STEELのキルトショーのため、サンプル製作をしてくれる方をさがしていました。
アメリカでもショーをやっているので、その写真をお見せして、同じように作ってくださいとお願いしたら、写真と同じもの・・・むしろ写真よりも良いものが出来てきたので本当にびっくりしました。
見ただけでパターンを起こして現物を縫うことができるなんて、こういう人が個人でやっているということ自体も驚きでしたし、こうしてnutteサイト上で出会えたこともびっくりしました。
きっと職人さんの腕を見れば紹介してほしいという人がたくさん出てくると思います。
左側が依頼時の写真、右側がnutteで製作した生地展の写真。
依頼に当たってなにか不安なことはありましたか
最初は、相手(職人さん)の顔も運営されている方の顔も見え無いのでその部分で不安でした。
職人さんにポートフォリオを送ってもらって、そこで判断したのですが、正直ここまでの品質のものができるとも思っていませんでした。完成品を見てとにかくすごいなって。
同じ繊維業界の企業として、抱えている課題などはありますか
染工場業界も縫製工場と同じように、高齢化・縮小化が進んでいて、後継者が育ちにくい環境になってしまっています。
安価な輸入品とファストファッションの大量流入もあって、国内の染工場業界は軒並み苦境に立たされています。
今回依頼しているCotton+Steelの生地はアメリカの老舗メーカーRJRが、2014年に立ち上げたブランド生地なんですが、デザイナーである彼女たちは日本のプリント技術に高い信頼を寄せており、コットンアンドスティールが山忠綿業による100%日本加工であること、だからこそ高い品質を保てていることを自社ホームページで広くアピールしてくれています。
高い技術力と品質を誇る、メイドインジャパンの生地の良さを国内外問わず広く知っていただけたらと思います。
これからのnutteに期待することはありますか。
nutteさんへの期待というよりも、これからnutteさんを利用する方々への期待です。
あまり安さ、手軽さばかりを求めないで欲しいと思います。nutteさんは誰もが気軽に自分だけのオーダーメイドを作ることのできる、素晴らしいサイトですし、利用される方には多くのメリットがあると思います。
そのメリットを、価格面では捉えないで欲しいなと。
今回、縫製職人さんとご縁があって痛感したことは、きちんとした技術と豊富な経験を持つ方には、きちんとした報酬が支払われるべきだということでした。
よく経済紙などに“企業は価格競争から脱却が必要“などと書かれていますが、デフレにすっかり慣れ親しんでしまった私たち消費者から、“適正価格”に対する認識を少し改めていくことも、日本の優れた技術や伝統ある産業を守っていくために必要なことではないかと思います。
職人さんもお仕事が終わったときに『素敵な生地に囲まれて幸せな時間でした』と言っていた通り、見ていてとても楽しく、クリエイターであれば作りたいものがどんどん出てくるのではないかと思える生地。アメリカのテキスタイルデザイナーから信頼されている日本の技術をもっともっと知ってもらいたいなと思います。
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